信楽 かたぎ古香園

「地域の編集者」として、地域の宝物や物語の詰まった“ホテルというメディア”となり、魅力を発信していくことが使命だと考える私たち。

各セトレでは、レストランで生産者さんの想いが伝わる“料理紹介”をしていたり、オープンキッチンという生産者さん、お客様、ホテルスタッフが一体となるイベントを定期的に開催していたりします。

お客様に自分の言葉で想いをしっかりと届けることがとても大切なんです。
今回は、そんな感性を高めるべく行われた、セトレマリーナびわ湖のスタッフの信楽訪問に密着しました。

香りの朝宮

まず最初に訪れたのは滋賀県南部、甲賀市信楽町の朝宮地区にてお茶の栽培・販売を行うかたぎ古香園(こうかえん)。
古くから『香りの朝宮』と言われ、日本五大銘茶産地の一つとして名高い朝宮茶。
朝宮茶は日本最古級の茶園としても知られており、延暦寺開祖の最澄が唐より持ち帰った茶の種子に由来します。
かたぎ古香園という名前は“いにしえの香り”という意味で名付けられたのだそう。

完全無農薬栽培に込める優しい想い

案内してくれたのは6代当主の片木明さん。

片木さんの代までは一般的なお茶園のように農薬散布、化学肥料の使用等を行って栽培をされていました。
自分のお茶を100%しっかりとお客様に届けたいという想いで産直販売を始めた際、本当にこれで良いのだろうかという気持ちが沸き上がってきた片木さん。
お茶は唯一口に入るまで一度も洗浄工程を介さない農産物なんだとか。

“赤ちゃんからお年寄りまで、朝昼晩ご家族で飲んでいただくお茶、安心して飲んで健康になってもらえるものを作らなければいけない。”
そう考えた片木さんは、栽培方法を「完全無農薬」に切り替えました。
46年前の当時、完全無農薬で栽培しているお茶園は一軒もなかったのだそう。
当初は害虫の大量発生や周囲からのバッシングもあったそうですが、3~4年経つと無農薬のおかげで天敵が増え、天敵農法が成り立つようになったとのこと。

片木さんは、安心して飲んでいただきたいという想いで、本来の自然の流れに入っただけだと優しい笑顔で語ります。

お茶の香りに酔いしれる

そんなかたぎ古香園さんの物語をお手製の資料とともにお伝えくださった片木さん、実際に朝宮茶を振舞ってくれました。

スタッフたちから一斉にもれる「いい香り…」というため息。
上品な苦みの中にほのかに甘みが香る非常に繊細な味が印象的で、まろやかな口当たりが心をほっとさせる、そんなお茶でした。

一度お茶を淹れたあとの茶葉からは朝宮茶の持つ本来の濃い香りが立ち上がり、スタッフたちも急須を回しながらその香りを堪能していました。
ちなみに、片木さんのお茶は淹れた後のお茶の葉をそのまま食べても、佃煮なんかにしてもとても美味しいんです。

お茶が出来るまでのストーリーを体感

たっぷりお茶の魅力に触れた後は、片木さんの案内で茶園と工場を見学させていただきました。
新芽を味見させてもらったりと、普段見る機会も少ない茶園に興味津々のスタッフたち。

こちらは希少なティーオイルになるお茶の実なんだそう。

茶園に続いて工場も見学させていただきました。
想像していたよりたくさんの機械が並び、お茶を作る工程の精密さに驚くスタッフたち。

この精密な機械も、日本ならではの技術であり、日本にしかない繊細なお茶を生み出すために欠かせないのだと語る片木さん。
その後ろではほうじ茶が作られており、香ばしい香りに包まれながらの貴重な体験となりました。

セトレマリーナびわ湖での出逢い

そんなかたぎ古香園の優しさが香るお茶ですが、セトレマリーナびわ湖の客室では和紅茶とほうじ茶をお楽しみいただけます。
レストランでは季節のノンアルコールカクテルなどに使用していることも。

片木さんは、「お客さんに安心して美味しいと思ってもらえるのがやっぱり一番。そういう想いでホテルでも提供してもらえれば」と話してくれました。

スタッフたちも片木さんの揺るがないこだわりをしっかりと感じ取ったようで、お客様との会話を積極的に行い、想いを繋げていきたいと語る様子も。

次回は信楽焼の窯元さん訪問の様子をお届けします。
生産者さんの想いをいかにお客様へ届けるか、日々奮闘しているセトレスタッフ。
セトレにお越しいただいた際には、地域の魅力に触れる素敵なお過ごしのお手伝いができるよう願っています。