
歴史ある街、奈良。そんな奈良には古くに生まれ、現代に受け継がれてきた伝統工芸の数々があります。今回は、そんな大和の地に息づく伝統工芸をご紹介します。また、せっかくなら自分の手で作ってみたい!という人におすすめの工芸体験ができるスポットもあわせてご紹介します。
透かし模様が目にも涼やか!実用性も抜群な奈良団扇(ならうちわ)
”伝統工芸品”というと、何だか古臭かったり渋いイメージが付きまといがち。しかし、この奈良団扇を一目見るとそのイメージはきっと吹き飛ぶはず。目にも鮮やかな赤や黄色やライトブルーの地色に、繊細な透かし彫りが施された美しいビジュアルが何とも印象的です。
奈良団扇は県指定伝統工芸品とされており、その歴史は遡ること1,300年。春日大社の神職が内職として作り始めた「禰宜うちわ」が起源だと言われています。全ての工程が現在も手作業で行われており、1本1本違った表情をみせてくれるのもまた魅力。
その出で立ちから、飾って楽しむ団扇と思ってしまいそうですが、実は大変実用的なものなのです。奈良団扇に使われる骨数は60~80本。一般的な団扇と比較すると、何と倍以上の数が使われています。それだけの数が骨として使われていれば何だか硬く重そうですが、竹製の骨は通常の団扇の半分以下の細さに割かれているため、非常に軽いのが特徴です。そのため、軽さとしなりが両立されており、実際にあおぐと意外にも力強い風を感じることができます。
そのため、何と30年以上使えるほどの丈夫さも兼ね備えているそう。繊細な見た目とは裏腹な高い実用性に驚きですね!
日本でここだけ!奈良団扇専門店でマイ奈良団扇を作ってみよう!
せっかく奈良に訪れるなら、その繊細な技法を近くで見てみたい!自分の手で作ってみたい!と思いませんか?そんな人にぜひご紹介したいのがこちら。近鉄奈良駅から徒歩5分、三条商店街沿いにある「池田含香堂」です。
この池田含香堂は、創業170年以上の歴史ある奈良団扇専門店。奈良団扇の製造は日本でここだけという貴重なお店です。
この池田含香堂では、見学は一人1,000円、体験は1,800円(送料別途)で奈良団扇の透かし彫り、貼りの作業の見学、体験が可能!所要時間は、見学は1時間、体験は2時間程度なのでぜひ気軽に挑戦してみたいところです。
体験で作った奈良団扇は、職人さんが仕上げをしてくれ約1週間後の完成となります。後日取りに行くか、郵送で自宅まで送ってもらうことも可能なので、しばらくわくわくした気持ちでお待ちくださいね。見学、体験共に1週間前までの予約が必須ですので、ご注意を。
店内では、見学、体験だけでなく奈良団扇もたくさん店頭に並んでいますよ。時間が限られている方は、お気に入りの1枚をぜひ探してみては。
池田含香堂
住 所:奈良市角振町16
電話番号:0742-22-3690
定休日 :9月~3月 月曜日
4月~8月 無休
営業時間:9:00~19:00
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩5分
ホームページ:池田含香堂公式HP
遠州七窯のひとつに数えられる、赤膚焼(あかはだやき)
次にご紹介するのは、県指定の伝統工芸品とされる赤膚焼(あかはだやき)です。赤膚焼という特徴的な名前。その由来は諸説あり、赤膚焼が作られる五条山の別名「赤膚山」からとも。また、焼き上げるとうっすら赤みを帯びるからとも言われています。
そんな赤膚焼、少し赤みを感じる薄いグレー色を想像する方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、「これ!」といった決まりがないのが赤膚焼の特徴。赤膚焼が作られる五条山一帯は、土の層が薄く層により土の色も変わるよう。釉薬や窯の違いで出来上がりが大きく異なる焼き物なのです。
祭器として茶道具としてなど時代に合わせて進化する、伝統的でもありながら柔軟な焼き物という印象です。
また、赤膚焼の特徴として上絵に奈良絵が絵付けされる点。奈良絵とは、お釈迦様の生涯を描いた絵巻物「絵因果経(えいんがきょう)」を元にした絵柄。人間や家、鹿、風景といった親しみやすい絵柄が特徴的。現代の私たちから見ると、素朴で愛らしいと感じますね。
女性窯元の元でつくる、世界で一つだけの赤膚焼に挑戦!
そんな赤膚焼、せっかくなら自分の手で世界で一つだけの作品に挑戦してみませんか?奈良県には、赤膚焼の窯元が数軒ありますが、今回ご紹介するのは「赤膚焼窯元 古瀬堯三 中の窯 治兵衛」。
「古瀬堯三」を聞くと、男性を想像しますが実は女性。受け継がれていく名跡で現在は8代目。女性窯元が、この赤膚焼体験をしっかりサポートしてくれます。
そして気になる体験は2種類用意されています。本格的に土をこねて赤膚焼を作りたい!という人は「手ひねり体験」がおすすめです。3,150円でお茶碗ほどの大きさの作品を作ることができますよ。所要時間は2時間程。無心で土をこねる時間はいいリフレッシュになりそうです。
もっと気軽に赤膚焼に触れ合いたい!本格的な赤膚焼に少しオリジナリティを加えたい!という人には「絵付け体験」がおすすめです。こちらの窯の作品に自分でオリジナルの絵付けを行っていきます。お抹茶茶碗、花入、盛器など自分で作るには少し難しそうな器でも絵付けに挑戦できますよ。絵、言葉など自由な発想で世界に1点だけをつくってみては。
ちなみにどちらも焼き上がりまで約1カ月ほど。送料は別途必要ですが発送もしてくれますので、奈良に訪れた際にはぜひ挑戦してみてくださいね。
赤膚焼窯元 古瀬堯三 中の窯 治兵衛
住 所:奈良市赤膚町1049
電話番号:0742-45-4517
定休日 :月曜日・第4水曜日
営業時間:9:00~17:00
アクセス:【公共交通機関】
近鉄学園前南口よりバス赤膚山終点(10分)下車後、徒歩2分
【車】
西ノ京(近鉄)よりタクシー5分
ホームページ:赤膚焼窯元 古瀬堯三公式HP
職人の手作業の賜物「奈良筆」
最後にご紹介するのは、奈良筆。奈良墨と並んで国指定伝統工芸品とされており、書をたしなむ人からは現代においても高い支持を集めています。
そんな奈良筆の歴史は古く、奈良で筆が作られはじめたのは平安時代初期。遣唐使として中国へ派遣された弘法大使(空海)が、筆の作り方を日本へ持ち帰ったことが奈良筆のスタートと言われています。そしていまもなお脈々とその歴史が受け継がれてきたというわけです。
そんな奈良筆が高い支持を受けているのは、その質の高さも大きな理由の一つ。奈良筆の特徴として数多くの動物の毛が使われているという点。実は筆は一種類の動物の毛だけでなく、穂先や根本など部位に合わせて数種類の動物の毛を混ぜて作られています。リス、イタチ、ムササビ、テン、豚、牛、羊、タヌキ、猫、馬など種類は多岐に渡ります。
そしてそれらを組み合わせ、上手くまとめるのが至難の技。長さ、弾力、強弱など毛はそれぞれ異なる特徴を持ちます。その原毛をそれぞれ水に浸し固め、目指す仕上がりに合わせ毛の配分と寸法を決め、混ぜ合わていく「練り混ぜ法」が奈良筆の高い品質を支えている技なのです。これにより、穂先の仕上がりが絶妙で、書き心地抜群の奈良筆が誕生するというわけ。
この奈良筆、全て手作業で行われます。これらは、職人さんの技術そして奈良時代から連綿と受け継がれてきた伝統が生みだすものなのです。
奈良筆の高い技術を活かした化粧筆、一度は使ってみたい!
そんな奈良筆に興味を持たれた方、でも書道する機会はなかなかない・・・という人におすすめなのが、化粧筆です。
奈良筆は毛筆の高い技術力を活かし、化粧筆を作っているメーカーもあるのです。これなら気軽に奈良筆を生活に取り入れることができそうですね!メイクの仕上がりは、道具にかかっているともよく言われますよね。仕上がりをグンとグレードアップしたいならぜひ筆を奈良筆にチェンジしてみましょう。
ぜひ立ち寄りたいのが、奈良市にある「あかしやショールーム」。あかしやは創業300年の奈良筆の老舗。書道用の奈良筆はもちろん、伝統の技を活かし今では化粧用の筆も取り扱っています。化粧筆のコーナーは、デパートのコスメ売り場のような洗練された雰囲気で、実際に化粧品を使って粉含みや肌あたりを体験していただくことが可能です。
これからもしばらくは続きそうなマスク生活。そんな生活だからこそ、アイメイクに力を入れる人も多いのでないでしょうか。そんな人はぜひ、眉やアイシャドウ用の筆を使ってみては?眉用やアイシャドウ用であれば、価格もお手頃でなんと1,000円以下で買えちゃう筆も。
また、名入れサービスもあり!自分だけの1本として大切に使い続けるのももちろんですが、プレゼントとしてもおすすめですよ。
あかしやショールーム
住 所:奈良市南新町78-1
電話番号:0742-33-6181
定休日 :HPにて確認してください
営業時間:10:00~17:00
アクセス:近鉄・JR奈良駅からバスで13分「三条大路二丁目」で下車、徒歩8分
ホームページ:あかしや公式HP
SETRE NARAMACHI
住所:奈良県奈良市高畑町1118
TEL:0742-23-2226
営業時間:
【ホテル】 火曜定休
http://www.hotelsetre.com/naramachi

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