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2020/07/28

長崎夏の風物詩「精霊流し」ってどんなイベント?

毎年お盆になると、日本各地でその土地に根付いた様々なイベントが行われます。今回ご紹介するのは、長崎の「精霊流し」。故人を想いながら船をつくり、最終地まで船を曳いて長崎の町を練り歩きます。まだまだコロナウイルス感染防止の為、旅行は厳しい夏になりそうですが、お盆の時期に長崎を訪れる際は精霊流しに参加して長崎ならではの文化に触れてみませんか?

精霊流しとは?

 

長崎の夏の風物詩として有名な精霊流し。毎年8月のお盆の時期になると、爆竹が派手に鳴り響き、色とりどりに彩られた「精霊船(しょうろうぶね)」を曳きながら地元の人たちが町を練り歩く様子がメディアで取り上げられます。長崎を中心に熊本や佐賀で行われる行事なので、九州地方に住んでいない方はあまりその風習に馴染みがないかもしれませんね。今回はそんな「精霊流しってなに?」と知らない方にも、その歴史や魅力をお伝えしていきます!

ご先祖様の霊魂が極楽浄土からこの世に戻られ、再び還っていかれるまでを供養すると言う仏教の教えを基に、日本各地で様々なお盆の風習があります。例えば、故人の霊魂をあの世とこの世に運ぶ「精霊馬(しょうりょううま)」を、きゅうりとナスで見立ててお供えしたり、極楽浄土に霊魂が戻られる際は「送り火」と呼ばれる火を焚く習慣があります。後者は、毎年8月16日に京都で行われる「大文字の送り火」が有名ですね。また、夏祭りで最も盛り上がる「盆踊り」も故人を供養するお盆の行事です。

一方で、長崎の精霊流しは、お盆の初日とされる8月13日にご先祖様の霊魂をお迎えし、8月15日のお盆最終日に「無事に戻れますように」と祈りを込めて、極楽浄土へ霊魂を送り出す事を目的とした行事です。色鮮やかに飾り付けられた精霊船は、その華麗さからお祭りの山車を連想させますが、故人を偲ぶ仏教の教えを基にした行事であることを胸に留めて参加しましょう。

精霊船の種類

精霊船は大きく2種類に分かれます。各家庭や個人でつくる「個人船」と、町内合同でつくる「もやい船」です。個人船の大きさはどちらも大小様々。竹や藁を使って骨組みを作り、花や果物で装飾されます。最近では、故人の趣味嗜好が反映された飾り付けも多く見られ、それぞれ違った赴きの船を見物できます。

精霊船の先端は大きく反れたラッパ状になっています。この竹で造られた船首部分を「水押(みよし)」と呼びます。そして、みよしの先頭の「鏡」と呼ばれる部分には大きな字で各家庭の苗字や家紋が書かれ、もやい船の場合は町名が書かれており、どちらも船の顔となる部分なので大変迫力があります。

船の形を模した精霊船ですが、実際に海に流されることはありません。「流し場」と呼ばれる最終地の「大波止」までたどり着くと、遺影や位牌を取り外して精霊船の本体は重機で解体されます。当日は、大波止を目指して多くの精霊船が列をつくり、長崎市内を彩ります。

精霊船を曳いて練り歩く際は、家紋入りの「印灯篭(しるしとうろう)」や提灯が夜の町に明かりを灯し、平たいお皿の形をした「鉦(かね)」と呼ばれる金属楽器が「チャンコンチャンコン」と鳴り響きます。鉦の音に合わせて、南無阿弥陀仏がなまったとされる「ドーイドーイ」の掛け声がつづき、更に爆竹が街中に響き響き、街全体がとても賑やかになります。

どうして爆竹を使うの?

先祖供養や故人を偲ぶ行事なので、淡々としめやかな雰囲気を想像しますよね。しかし、現場は違います!8月15日の本番当日は、街中に爆竹の派手な爆破音が鳴り響き、それはそれは耳栓必須のレベルです。なぜ爆竹?と不思議に思うのも当然。諸説ありますが、爆竹が「魔除け」として扱われている中国の文化が影響していると言う説が一般的に浸透しています。では、なぜ中国?と更に疑問が増えますよね。それは、長崎と中国の長い歴史に起因します。

江戸時代から日本の玄関口として栄えた長崎。16世紀ごろから寄港地として、中国をはじめとするアジア諸国と関わりを深め、貿易と共にもたらされた様々な異文化に影響を受けました。現在も中華街が賑わい、「唐寺」と呼ばれる中国式のお寺も観光スポットとして人気があります。この様に長崎は、古くから中国の文化が根付き、その名残の一つとして、中国のあらゆる行事で使用される爆竹が精霊流しでも使われる様になったと考えられます。旧正月を祝う中国最大のイベント「春節」では、今でも桁違いの爆竹が鳴り響き、街全体に広がる赤い爆竹は大変インパクトがあります。

しかし、近年「いかに派手に演出するか」と、本来の精霊流しの意味合いから大きく逸れた行為が問題視されているのも事実。当日は、スーパーやコンビニでも耳栓がたくん販売されるので、爆音に耳が耐えられなくなる前に用意しておきましょう!

開催時期や場所について

今年は未知のコロナウイルスに世界中が翻弄され、収束の行方が見通せない状態が続いています。これから始まる夏休みやお盆休みを、思いっきり楽しむことはできるのか?期待と不安が入り混じる日々かと思います。

現時点での精霊流しに関する情報としては、7月13日に長崎市のホームページにて、例年通り8月15日に行うと公表されました。ソーシャルディスタンスを保ち、「新しい生活様式」に従って参加者一人一人の感染防止対策を呼びかけています。当日は、午後5時以降から車両通行止めになる地区もあるので、お車で参加される方は事前に調べておきましょう。また、開催については現状を考慮して再検討の可能性もあるので、こまめな情報チェックをおすすめします!

開催場所は、長崎市内中心部一体と幅広く指定されていますが、メインストリートは「思案橋」、「県庁坂」、「大波止」の3つです。それぞれ一直線につながっているので、思案橋からスタートして、まっすぐ前に進むと迷うこともありません。JR長崎駅前から「崇福寺行き」の路面電車に乗り、約10分で歓楽街の思案橋に到着します。県庁坂は、官公庁が立ち並ぶ交通量の多い坂。3つのストリートの中でも、ここが一番の賑わいを見せるのでピンポイントで行く場合おすすめです。

長崎市ホームページ

https://www.city.nagasaki.lg.jp/shimin/140000/148000/p034712.html

まとめ

日本各地で独自の風習を持つお盆。長崎の精霊流しは、極楽浄土から戻られた故人の霊魂を再び送り出すために、それぞれの家庭で精霊船をつくり、船を曳きながら市内を練り歩く伝統行事です。お祭りとはまた一味違ったこの行事に参加してみるのも、長崎の文化を知る貴重な旅の経験となるのではないでしょうか。まだまだコロナの影響がどこまで及ぶか分かりませんが、今年のお盆に長崎へ行かれる方は精霊流しに参加してみましょう!

セトレ グラバーズハウス長崎
SETRE Glover's house NAGASAKI
住所:長崎県長崎市南山手町2-28
TEL:095-827-7777
営業時間:
【 ホ テ ル 】火曜定休(祝日・夏期・年末年始除く)
※水曜日は10:00~の営業となります
【ブライダル】平日12:00-19:00/土日祝10:00−20:00/火曜・水曜定休
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